コッツウォルド・ウェイ・タイトル2

ジルちゃんとDeco Boco Walking @ コッツウォルド・ウェイ(春編) #1

 春が来た、春が来た、どこに来た〜♪ 英国にも春が来たぞー!!ということで、友人のジルちゃんと英国を歩く季節がやってまりました。英国育ちでない凸凹コンビが、ぶらぶらと歩きながら、千変万化するこの島国を肌で感じ取る。そんな旅は、山あり谷ありの我々の人生とも重なるということで、二人旅シリーズを”Deco Boco Walking”と命名しました。そしてこのDeco Boco Walkingの記録を残していこうと、フェイスブックで専用のページも開設してみました。

Decobocoロゴ

Deco Boco Walking: www.facebook.com/walkingupdown/

ぶらぶら歩きもページ開設もあまり深く考えず、ノリでやっておりますので、今後どんな展開になりますやら・・・、まずは、行けるところまで進んでみます。気長にお付き合いいただければ幸いです。

コッツウォルズ9 クリーブ・ヒルにあるゴルフ場から今回の旅はスタート。COTSWALD WAYの標識がお出迎え

 さて、今回の旅は、春といえばお花見でしょ!っということで、英国流お花見は、なんぞやと考えた時、春の花の代名詞、ブルーベルを愛でることではと思い立ち、有名スポットがいくつかあるコッツウォルド・ウェイを歩いてきました。なんせ凸凹コンビのふたりは、Lazy Lady Walkers(気合の入っていない、ゆるゆる女性ハイカー)でして、寒くて、暗くて、泥だらけの英国の冬は、もっぱら脳内で旅してばかりでしたが、ようやく靴の紐を閉めて、外へと飛び出す心の準備が整いました。コッツウォルド・ウェイは、前回おしゃれに紅葉狩りと思って出かけたら、暴風雨に見舞われ、コッツウォルズ地方のポッシュな(上級階級らしいさま)雰囲気を味わうどころか、服はびしょ濡れ、髪はボザボザ、足元は泥だらけという、ワイルドな旅で終えましたので、今回はある意味リベンジ!!(コッツウォルド・ウェイ 秋編は、こちら>>。)前回歩いたコースより、若干北へ上がったコース、一日目は、クリーブ・ヒル(Cleeve Hill)からダウズウェル(Dowdewsell)、二日目は、バードリップ(Birdlip)からペンイズウィック(Painswick)をぶらぶらしました。

コッツウォルズ10 歩くひと、犬の散歩しているひと、羊の放牧。そして、ここはゴルフ場。まさに多目的に使われている土地があるのが英国式

クリーブ・ヒル

 一日目:雨上がりの五月始めの週末、英国障害競馬の祭典が有名なチェルトナム(Cheltenham)の駅に降り立ち、そこからタクシーでクリーブ・ヒルに向かいました。ブルーベル満開時期は過ぎてしまっているかなと少し心配しながらも、坂道を上がっていく車に揺られ、私たちの期待値も高まります。今回のスタート地点は、なんと丘の上にあるゴルフ場。早速COTSWALD WAYの文字とナショナル・トレイルの印であるどんぐりマークが記された標識がお出迎えしてくれました。英国では、フットパス(通行権のある歩道)が法律によって守られているので、そこが私有地だろうと、農園だろうと、フットパスがあればいつでも歩いてOK。もちろんゴルフ場でも同じ。ゴルファーとは明らかに違う服装の人たちが、プレイとはなんら関係なく、勝手に歩いているのです。さらに今回のゴルフ場には、ゴルファー、ハイカー、ランナー、サイクリスト、犬の散歩するひとたちと混じって、なんと羊も遊牧していて、皆好き勝手にそれぞれの方向へと進んでいく、まず日本では考えられない不思議な光景がありました。さらに羊含め、お互いに邪魔しないように、いい距離感を保っていて驚きです。一歩間違ったらカオス状態になりそうなのに、絶妙なバランスで、のんびりと平和な時間が流れていました。でもよく考えたら、羊飼いたちが始めた遊びが起源と言われている(諸説あり)ゴルフ。また、草刈り機が開発される前は、放牧で伸びた草をコントロールしていたそうなので、羊がいてもおかしくはないはずです。むしろ、今の時代ではエコかも・・・。

 「ゴルフボールが、羊のフンに突っ込んだら、どうするんだろうか?」「一発目で突っ込んだら、ホール・イン・ワンならぬ、プー(Poo)・イン・ワンだね。」とふたりで大笑いしながら、先へと歩を進めました。ゴルファーにとっては、迷惑な客です。

出発点: クリーブ・ヒル  終着点: ダウズウェル

コッツウォルズ11 ナショナル・トレイルの印であるどんぐりマークの標識の向こうでは、ゴルファーがティーグランドでショットを打っていた。柵も囲いもない。共有が当たり前のようだ

 コッツウォルドのウォルド(Wold)は、古語で丘(Hill)という意味になりますが、まさにその名の通り、ゆるやかな丘陵地帯 ー Rolling Hillsが続いていて、天気が良い日には、ウェールズまで一望でき、開放感があります。ナショナル・トレイルの中でも、比較的アプローチしやすいコースで、なだらかとはいえ起伏があり、変化に富んでいて、飽きがきません。ポツンと現れるコッツウォルドの石造りの家が並ぶ村がよいアクセントになり、まさに古き良き英国を体現した絵画のような風景。さらに、標識も道もきちんと手入れされていて、まず道に迷うことがないのは、私たちのような読図がイマイチの人間には嬉しい限りです。

コッツウォルズ12 生まれたばかりの子羊たちが、なんとも初々しい。母親にくっついて歩く姿は、自然と笑顔にしてくれる

コッツウォルズ13 キッシング・ゲート(Kissing Gate)と呼ばれる門扉。人だけが通れ、家畜が逃げないようにするためのもの[

 ベラベラしゃべりながら、丘の稜線上にある自然保護区、農地などを縦走していきます。我々ふたりは、身なりと話す英語(ひとりは、カナダ英語。もうひとりは、日本語英語)から、明らかにコッツウォルドの人間ではないのがバレバレで、地元の人たちも興味津々なのか、「どこから来たの?」とよく声をかけられました。ハイカー慣れしているのか、みなさんフレンドリーで、プチ情報を教えてくれたり、わざわざ道案内までしてくれたり。そして言葉の節々にコッツウォルドの住人である誇りが感じとれ、自慢の土地を見ていっておくれよの気持ちがひしひしと伝わってきます。お国自慢したくなるのは、どこも同じですね。

コッツウォルズ14 犬の散歩中の女性と遭遇。凸凹コンビを不思議に思ったのか、すれ違いざまに声をかけられた

 そうこうしているうちに、丘の上から緩やかな坂を下り始め、今日のハイライト、ワイルドガーリックが生息するダウズウェル自然保護区の森に差し掛かりました。今までのどこまでも広がる空と大地の絵とはうって変わって、青々と生い茂る木々の中を抜けていきます。ヒヤッとする涼しい風が、汗ばんだ肌に心地良い。そして緑に白玉模様のカーペットとなったワイルドガーリックが一面に咲いており、目にはおとぎ話のワンシーンのように美しく映り、鼻にはニンニクの匂いを感じとれ、食欲をそそります。お腹空いたー!!ということで、倒れた丸太に腰掛け、遅めの昼食。朝握った鮭おにぎりを頬張ります。鼻からニンニク、口からシャケ。なんて素敵なマリアージュ。しかも、カナダ人のジルちゃんが、日本食のおにぎりを、英国の森で食す、へんちくりんな現象。思わずシャッターを切らずにはいられませんでした。

コッツウォルズ15 カナダ人が英国の森で日本のおにぎりを頬張る。シュールだなぁ〜

 その後、更に丘を下り、大きな貯水池に出てきました。ひとりサイクリングで、一息している男性。水辺でピクニックを楽しむ若いカップル。森を散策している家族連れ。先ほどのゴルフ場同様、それぞれがそれぞれの楽しみ方でこの場を共用している。暗黙の了解で、お互いに邪魔しな距離感を保ちながら・・・。英国民性の素晴らしいことと一言で言ってしまえばそれまでなのですが、どうしてこのようなことが自然とできるのか。どうゆう経緯でこのような習慣が確立したのか、私には不思議です。でも確かなのは、そこには、何にも干渉されない心地よさがあり、現実の役職や立場などを忘れさせてくれ、自分が自分らしくいられる空間があること。だからこそ、みなこの場にいたんだと思います。

コッツウォルズ16 これでもかと続くワイルドガーリックの園

コッツウォルズ17 可愛らしい花を嗅いでも、にんにくの匂い

 今日の旅はここまで。車道に出て、タクシーを呼び、明日のスタート地点、バードリップにあるB&Bへ。晴れていた空が、宿に着いた途端、黒雲に覆われ、夕立の雷が落ちてきました。それをBGMにいつも通りビールで乾杯!B&B内にあるパブには、ハイカー、サイクリスト、観光客、地元民で、いっぱいになっていました。ここでも異色凸凹コンビに話しかけてくる人が多く、中には毎年どこかへ歩きに行っている男性3人グループもいました。今まで、デムズ・パス、オファス・ダイク・パス、サウス・ウェスト・パス、のナショナル・トレイルを歩いてきたとのこと。天気のせいか、旅のせいか、酒のせいか、皆テンションが高く、ノリノリで話してきます。このような場が、いい情報交換の場になるようです。しかしみなさん、歩くの好きねぇ〜。

二日目につづく。

二日目は、こちら >>。

7th May 2016, Sun @ Cotswold Way (Cleeve Hill – Dowdeswell Wood), Gloucestershire

トレイル情報:
コッツウォルド・ウェイ オフィシャルサイト
Cotswold Way : Trail Guide (Aurum Press, 2012)


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