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(England Coast Path)約10年前に英国で出会ったカナダ人のジルちゃんと日本人の私。毎度おなじみ凸凹コンビが、ワンダーランド・ブリテン島を歩いて旅します。 [osmap markers="TR3214741255!red;ドーバー" zoom="0"][osmap_marker color=red] ドーバー 2017年第一弾は、英国南東部にあるケント州、ドーバー海峡を見ながら歩くイングランド・コースト・パス。コースは、ハイズ(Hythe)ー フォルクストン(Folkestone)ー ドーバー(Dover)ー セント・マーガレット・ベイ(St. Margaret Bay)。ドーバーは、ブリテン島が欧州大陸に一番近いポイントで、英国の玄関口になっており、大きな港町です。フォルクストンは、ドーバー海峡を渡る海底トンネル・ユーロトンネルの入り口となっています。大昔から現在に到るまで常に英国・欧州間の関係に影響されてきた地域であり、また真っ白なチョーク(白亜)岩壁が有名なところでもあります。そんな産業・歴史・自然がミックスされたユニークな海岸線を、ランぶら歩きしてきました。 ロンドンで開催された、ジルちゃんデビュー小説"The Last Wave"の出版記念パーティーにて。ジル先生のご著書にサインをいただいております  今回の滞在拠点は、フォルクストン。ロンドンから電車で一時間という立地の良さもあり、19世紀ヴィクトリア王朝時代のリゾート地として栄え、今もその雰囲気が残されています。一日目は、ここから、ドーバーを通り抜け、セント・マーガレット・ベイまでの東へ向かう約19キロ。二日目は、逆に西のハイスへ7.2キロ歩きました。今回は、いつものランぶら歩きだけでなく、もうひとつ大きな目的がありました。それは、ジルちゃんの長年の夢であった小説家デビュー作”The Last Wave”が今春に出版され、その本の舞台になったのが、このドーバー。ということで、聖地巡礼、出版記念歩き。主人公が、ドーバー海峡を横断泳するチャンネルスイマーということで、実際に挑戦した人たちの偉業を生で感じる旅でもありました。 [osmap centre="TR2883740680" zoom="4.50" gpx="https://rambleraruki.com/wp-content/uploads/2021/11/English-Coast-Path-_-Folkestone-to-Dover.gpx" markers="TR2247235405!red;出発点: フォルクストン|TR3697244595!green;終着点: ドーバー"] [osmap_marker color=red] 出発点: フォルクストン [osmap_marker color=green] 終着点: ドーバー  一日目:天候は、良好。六月初めですが、すでに夏の日差しが照りつけ、少し暑いぐらいでした。夏のホリデーシーズンにはまだ早いですが、週末ということもあり、ぶらぶら歩いている人たちが、結構いました。フォルクストンの港を通り過ぎ、町から徐々に離れていくと、早速白亜の崖が見え始め、テンションが上がります。 街を離れてすぐに白亜の岩壁がお目見え。空の青さが、チョークをますます白く輝かせる おなじみナショナル・トレイルのどんぐりマーク。今回は、England Coast PathとNorth Downs Wayのダブルどんぐり。非常に珍しい  今、イングランドでは、海岸線を2020年までに全開通させる新たなナショナル・トレイル、イングランド・コースト・パスの整備が着々と進んでおり、ここケント州は、1/4のコースが2016年に開通し、2020年に向けて残り3/4を作業している最中。今回は、開通したコースのほんの一部を歩いたことになります。このイングランド・コースト・パスが全開通すると、総距離4500キロ。ウェールズは2012年に、一足先に1400キロ全開通しており、それと合わせると計5900キロとなり、世界一長い海岸線トレイルとなります。海岸線といっても、砂浜ばかりではなく、今回のドーバーのような岩石海岸、湿地帯、砂利浜を歩くことも。目の前に広がる海の表情、波によって荒く削られた岩の彫刻、人々と海の暮らしがある風景、波と石がぶつかり合う音、潮の香り漂う風を感じながらの歩きは、山のトレイルとはまたひと味違う、五感を刺激する独特の面白さがあります。新鮮な魚介料理がいただけることも、進む足をさらに加速させます。 生い茂る草と蒸し暑さの中登り続ける。ああ、しんどい  崖歩きは、山歩きのような蛇行した道ではなく、想像以上に急なアップダウンがあります。今回も少し憂鬱な気持ちで、草で覆い隠された道を上がって行きました。日陰らしい日陰もなく、直接太陽が頭の上を照りつけ、早速ムシ暑さで汗が一気に出てきます。涼しい潮風はどこへ?と思いながらしばらく登り続けると、視界がパッと広がり瑠璃色の海が果てしなく続き、空と混じり合っていました。私が慣れ親しんでいるエセックスの湿地帯が続く海岸線とは明らかに違い、スケール感があり思わず「きれーい!!」と声を上げてしまいました。ロンドンからそう遠くない場所に、青い海があることにびっくりです。下を覗くと、白亜岩壁をぶち抜いたトンネルに電車がちょうど入っていき、さらにテンションアップです。 チョークの崖をくぐり抜け走る電車が見えた。車窓から眺める海もまたひと味違うのかな・・などと想像してみる 過去と現在が交差する。青年たちは何を思いながら飛び立ったのか。想像計り知れない。バトル・オブ・ブリテン記念館にて  崖の上に立ち、広がる平野を見ながらホッと一息。潮風で涼みながらさらに進むと、突如整備された広場が現れました。はじめ何の施設は分からず進むと、大きな男性が座っている像があり、その奥に名前が刻まれた黒い石碑。ここが第二次世界大戦、ドイツ空軍と英国空軍が最大の航空戦を繰り広げた「バトル・オブ・ブリテン」で勇敢に戦った兵士たちを追悼する場であることが、のちにわかりました。美しい海の上で、悲しい涙が多く降ったのかと思うと心が痛みます。英国連邦諸国であったカナダから参戦した人もいて、ジルちゃんも神妙な面持ち。この土地が持つ運命を感じずにはいられませんでした。 明るく美しい風景とは対照的な暗い過去が、そこにはあった アボッツ・クリフ(Abbots Cliff)。崖ぎりぎりのところを歩き、スリル満点。後ろにある家は昔、密輸入業者を上から見張る場だったそう。地元の小さな歴史を知ると、なぜだかその地に情が湧いてくる  さらに歩を進めていきます。崖の上は、思いの外、野生動植物が豊富で、野生ランも咲いていました。ハヤブサの一種であるチョウゲンボウが、時々崖の上をホバリングしながら、餌を探している姿が見えます。農場では、トラクターが、急斜面をアップダウンしながら干し草を収穫していき、放牧された馬や羊たちはのんびり草を頬張る。その農地を割るかのように高速道路が敷かれていて、船への搭乗を待つ巨大トラックが、長蛇の列を作っていき、その先にはクレーンが並ぶ港町ドーバーが、見えてきました。田舎の明るくノホホンとした風景と産業的で忙しない港の姿。まるで現代社会を凝縮したかのようなこの眺めは、この土地ならではと感じます。 海と牧草。港と巨大トラックの列。白亜のステージには、2つの異なる世界が共存していた シェイクスピア・クリフ(Shakespeare Cliff)と呼ばれるこの崖の下にある浜から、ドーバー海峡横断泳者たちは、スタートする。海峡横断泳協会に正式に登録し、記録を残さないと挑戦できない。成功者は、現段階で2199名。 ドーバーは、ナショナル・トレイルNorth Downs Way、England Coast Pathだけでなく、欧州大陸に続くEuropean long-distance pathsのE2とE9のルートでもある。ロングトレイルでも、重要な拠点 夏休み前だが、家族や友人たちと歩く人々が、ちらほら ドーバーの街並み。丘の上には、守りの城ドーバー城が見える。ローマ人時代すでに、要塞港として使われ続け、今も人とモノの行き来を監視し続けている 世界的に有名な英国人グリフィティ・アーティスト、バンクシーの作品。ドーバーの街中で見ると、EU 離脱のリアリティーが増し、どこか寂しさが込み上げてくる チャンネルスイマーたちのパブ、The White Horse。店内の壁・天井一面に、スイマーたちのサインが書かれている。ジルちゃんは、ここに自分の処女作を置いてきた 海沿いを歩くなら、やっぱり新鮮な魚介類を食するのは、外せない  ドーバーの街に入り、腹ごしらえを兼ねて、チェンネルスイマーたちが集うパブ、The White Horseへ。パブに入ると壁や天井一面に書かれたスイマーたちのサインが、目に飛び込んできます。ジルちゃんの小説には、このパブが登場します。去る前に、オーナーに一冊本をプレゼントし、記念撮影。さっそくみなに宣伝してくれるそうです。多くの人々に作品が読まれたらいいなと思います。 家の至近距離に、白い崖が・・・。地震大国日本では、あまり見られない光景かと 左を向けば、コンクリートで人工的に作られた港、左を向けば、蝶が野花の中を飛び回る自然保護区。何とも不思議な風景  お腹が満たされると眠気が襲い、足が急に重くなります。だらーんとしながら少しつづ先へと進みます。街中を通り抜けて、また白い崖の上へと登ります。ここからは、ナショナル・トラストが管理するThe White Cliffs of Doverになります。海を見ながら、岸壁の上を歩いたり、ティールームやビジター・センターでお茶をしたりできる自然と第二次世界大戦時中に兵士たちが住んでいたシェルターなどの歴史にも触れられます。ここは、観光地として有名であるため、今まで歩いてきた道とは違い、車椅子でも訪問できるようきれいに整備されており、この日は乳母車を引く家族や海外観光客が多く歩いていました。同じドーバーでも歩いてきた西側とは確実に雰囲気が違います。 白くて可愛らしい灯台が黄金の麦と青い空を繋いでいた  海の向こうには、フランスがはっきりと見えており、ドーバーと同じ白亜岩壁に驚きました。昔陸で繋がっていたことがよくわかります。突如、携帯がピピット鳴り「フランスへようこそ。ここからは、フランスの携帯会社がご案内させていただきます。」とメッセージが届き、さらに驚きました。なんだか、人間の作る国境って、なんだろう。よくわからないなと考えてしまいました。 ジルちゃんの処女作"The Last Wave"。表紙の絵にも使われているドーバーのホワイト・クリフにて記念撮影 この瞬間のために、歩くと言っても過言ではない。© Gillian Best  日照時間が長い6月とはいえ、だんだん暗くなり始め、足もさすがに疲れてきたころに、ようやくゴールのセント・マーガレット・ベイにあるパブ、Coastguardに到着。這うようにバーに行き、恒例の地元ビールで、乾杯。今日一日の旅の疲れを癒しました。その後、タクシーでフォルクストンまで帰る道中、トルコ人の運転手さんが、カナダ人と日本人のコンビが、ここで何をしてきたのか聞くので、ずっとここまで歩いて来たことを話すと驚いていました。確かにかなりの距離があることが車で走っていてもわかります。運ちゃんの「よく歩くね」とでも言いたい不思議そうな顔が印象的でした。 やはり海に行ったら、水には触りたい。セント・マーガレット・ベイにて 10th June 2017, Sat...