私は子供の頃、好奇心旺盛で、何か不思議を感じるたびに、周りに「なぜ?、どうして?」と問い続け、大人たちを困らせていました。それはまるで、どこから何の匂いがするのか、クンクンとしつこく嗅ぎ回る犬のようでした。ある日、私の質問攻めにウンザリした父が私に言いました。「ひとに聞く前に、自分で調べてみろ!!」
月日が流れ、結婚を機に英国に暮らすようになった私は、ある時英国人たちが、よく歩いていることに気がつきました。例えば、英国人の夫の実家に行くと、必ず全員で近所を散歩します。また、友人とお茶をした後も、「ちょっと歩こうか」とごく当たり前のように外へ出ます。日本にも、犬の散歩、健康のためのウォーキングなどはありますが、どうも英国人のは、それとはまた少し違うもののようです。四季折々の自然を鑑賞する、友達とゆっくり話す、瞑想をする・・・などなど歩く目的はそれぞれですが、共通して言えるのは、ぶらぶら歩くことに、かなりこだわっているということです。彼らの執念は半端なものではなく、その証拠に200年以上の年月をかけて、全国に網の目を張り巡らせたかのような徒歩専用道路「フットパス」を整備し、その道を通る権利「通行権」まで、法律に定めてしまいました。
パブリック・フットパスであれば、全国どこでも歩ける
なぜ、彼らはそこまで歩くことにこだわるのか? どうして、そこまで徹底してやるのか? また私の悪い癖、「なぜ?、どうして?」病を発症してしまったのです。周りに聞いても、「なんでだろうね。当たり前だと思っていたから、今まで考えたことなかった」と答えになっていない答えばかりが返ってきます。そこで、田舎に住む日本人主婦として、歩くことを楽しんでいる英国人たちをつぶさに観察し、私なりに疑問を解明してみようと思い立ったのです。実際に調べていくうちに、どうもいくつかのキーポイントがあるんじゃないかと感じ始めました。
そもそも散歩って、なに?散歩の概念と歴史
通行権って、なに?権利って、なに?権利にうるさい国民性
なぜデータにこだわる?自然科学・人文地理学の発展
その好奇心は、どこから?冒険心・探究心の強さ
遊びって、なに?アウトドア・スポーツの定義
環境は、どう守るの?自然・景観保護思想と環境教育
郷土愛って、なに?深い愛国心・地元愛
旅するとは、どうゆうこと?ツーリズム・観光の歴史
歩く旅の始まりは?巡礼の旅
チャリティーって、なに?チャリティー団体の存在
これらのポイントを鍵に、それぞれの角度から検証していくことにチャレンジしてみようと思います。 このサイトは、その検証作業の記録です。専門家ではない、ただの主婦の私が、小学生の夏休み自由研究をする。そんなノリで書かれたものです。勉強不足、知識の無さ、理解の浅さにツッコミどころ満載でしょうが、そこはどうか温かく見守っていただければ、ありがたいです。
彼らが確立した歩く文化、そしてその奥深くにある独自の価値観とは・・・。昔父に言われた通り、自分の足で調べ、目で確かめていきたいと思います。長い旅になりそうです。
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