ロンドンウォーク0

ガイドウォーク in ロンドン #1


When a man is tired of London, he is tired of life;
for there is in London all that life can afford.
『ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。
ロンドンには人生が与え得るもの全てがあるから』

 18世紀英国文壇の大御所、サミュエル・ジョンソンが残した有名な言葉です。長い歴史を刻んできた欧州最大都市ロンドン。しかし、このサミエルさんがゾッコンだったロンドンに、なぜか私がときめくことはありませんでした。もっと若い時にロンドンに出会っていたら、その関係性は違っていたかもしれませんが、ロンドンの全てを知る前に、私が都会そのものに飽き、すでに別れを告げていたからかもしれません。ロンドン、あなたはきっと魅力的なはず。あなたが悪いわけじゃないの・・・。タイミングって、何においても難しいですね。そんな、なかなか距離を縮めることができなかったロンドンが、ぐっと近づいた瞬間がありました。それは、ロンドン内で多く行われているガイドウォークに参加した時です。

ロンドンウォーク1 ガイドウォークといってもいろいろ。ただし、ガイドは道案内、安全管理だけでなく、どんな質問でも答えられるよう、豊富な知識が求められる

 ガイドウォークとひとことで言っても、いろいろあります。英国では、ざっと大きく分けて三つのタイプがあるようです。

1)道案内のガイドによる、旅行規模の歩き。山岳ガイドや旅行会社の添乗員などが付くタイプで、日本でも一般的です。

2)ある特定の情報や知識を学びながら歩くツアー。いわば大人の社会科見学みたいなもの。観光というより、アカデミックな要素が強い。

3)お試し体験のガイドウォーク。よくイベントの一環として行われ、ある団体や地域の魅力、日頃行なっている保全活動を、体験や見学を通して知ってもらうPR型。今回お話しさせていただくのは、タイプ2の学ぶガイドウォーク。私は、オタク・ガイドウォークと呼んでいます。

 オタク文化といえば、日本ですが、英国も負けず劣らずオタク大国です。強い探究心がある国民性で、いろんな分野のマニアやコレクターが存在しています。なんでしょ、島国の特徴なんですかね。そんこともあり、今回レポートするロンドンで体験できるガイドウォークは、名所巡りや名物を食するといったよくある観光ツアーとはちょっと違う、ある一つのテーマに特化した内容の濃いもので、全国だけでなく海外からも探究心が止められない方々が参加されます。その中から私が実際に参加したガイドウォークを二つほどご紹介したいと思います。

ロンドンウォーク2 ロンドン内では、純粋な観光ツアーのほかに、あるテーマに特化したツアーが、毎日どこかで行われている。オタクな人々には、たまらない

ロンドンウォーク3 ロンドン博物館のガイドウォークは、人気のアトラクションなのか、前もってチケットを購入しておかないと、すぐに売り切れてしまうほど人気がある

 まずは、ロンドン博物館が行なっているガイドウォーク。この博物館は、旧石器時代から現在までの、都市ロンドンの歴史や文化を専門に研究。市内二ヶ所に博物館を持ち、貴重な資料を展示しています。そして天気の良い季節になると、展示と関連したガイドウォークが、頻繁に開催されます。ロンドンは、都市としての歴史が長いため、ガイドウォークのテーマも豊富です。しかも案内してくれるのは、テーマごとの専門学芸員、または、英国政府公認観光ガイド(通称ブルーバッジ・ガイド)になりますので、かなり深い話や最近の研究情報も聞けるので、通好みかと思います。

ロンドンウォーク4 London Walksのパーフレット。このパーフレットを掲げたひとが集合場所にいる。それが目印

 もうひとつのガイドウォークは、London Walks。その名の通り、ロンドンのガイドウォークを、50年前から専門に扱っているツアー会社です。ツアーは、2時間ほどで10ポンド。予約不要。指定された時間に集合場所へ行けば、誰でも参加できます。365日毎日開催され、毎週約100ツアーの中から選べます。ロンドンの時代ごとの歴史、文化はもちろん、お化け、パブ、医療、地学、ギャング、映画ロケ地、スパイ、殺人事件現場、土木、法廷、インド文化、テムズ川での発掘作業などなど…。ロンドンをあらゆる方向から掘り下げていくガイドウォークです。ガイドは、英国政府公認観光ガイド(通称ブルーバッジ・ガイド)だけでなく、弁護士、俳優、学者、エンジニア、作家などそれぞれの分野の専門家が担うこともあります。こちらも聞ける話は、かなり興味深く、ツアーによっては、寸劇が入るエンターテイメント・ショーのようなものもあるようです。

 では、後半2回に分けて、私が実際に参加したツアー、ロンドン博物館による「シェイクスピアのロンドン」とLondon Walksによる「ジェーン・オースティンのロンドン」のそれぞれの様子をご紹介します。文学に疎い私ですので、正直オタク情報は理解できない部分もあります。それでも、時代ごとのロンドンでの生活は、どのような様子だったのか。少しでも理解できたらなと思い行ってまいりました。

つづく

*後半は、こちら >>。


掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。© rambleraruki.com 2021
No Comments

Sorry, the comment form is closed at this time.